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ボッソウの人々
PEOPLE OF BOSSOUボッソウ村は、ギニアの東南部に位置し、郡役所所在地のローラから18km、県庁所在地のンゼレコレからは約80km離れた、コートジボアールとリベリアの国境のそばに位置しています。
ボッソウにはマノン族が暮らしています。マノン族は現在、コートジボアールやリベリアの北部、ギニアの南東地域にあるいくつかの村に住んでいます。ボッソウは人口約2000人あまりの小さな村ですが、週に一度、市がたち、農作物や、普段村では手に入らない日常品などを売り買い求める人が近隣の村からも訪れ賑わいます。
村人の主な生業は農業で、主食となる米やカッサバ、その他落花生、ナス、オクラなどを育てています。以前は森を切り開いて焼き畑農業が主流でしたが、今はサバンナや低湿地での農業も行われています。
水田
村のこどもたち
カッサバの畑
隣国のコートジボアールとリベリアは長年の内戦で多くの人々が被害を受けてきました。そのような両国の国境に近いボッソウですが、国内外の情勢にかかわらずマノン族の人々の間では戦わないという「条約」により平和を維持してきました。1990年に隣国での情勢が悪化したときには1000人を超える難民を受け入れる国連による難民キャンプが設置され、一時人口が急増しましたが数年前に難民帰還事業もおわり、キャンプも閉鎖されました。
週に一度の市場
道路に店が立ち並ぶ。
2006年撮影 難民キャンプ跡地
村人とチンパンジー
ボッソウの村にとってチンパンジーは特別な存在です。マノンの人々は家族によって異なるトーテムを持っていますが、チンパンジーはボッソウの村を創立した一家のトーテムであるため、それを殺したり、食べたりすることは村全体で禁忌されています。チンパンジーは村人の祖先の生まれ変わりである、また、チンパンジーの声によって、村に何が起こるかがわかるという村人もいます。
村人とチンパンジーは同じ道を利用します。
村人の視線の向こうに・・・
ボッソウの人々とチンパンジーは森林の資源を分け合い共生しています。ボッソウのチンパンジーが石器を用いて割る油ヤシの実は村人にとってもヤシ油を作るための貴重な資源です。その他にもチンパンジーが食べる森林の植物が村の人にとっても、食用あるいは薬草として利用されています。このように人とチンパンジーが隣り合わせで生活しているボッソウは、アフリカでも希少な場所といえます。しかし、近年ではボッソウ周辺の農地開拓のための森林伐採なども見られ、チンパンジーをとりまく環境は悪化してきています。